NHKプラスで「映像の世紀 バタフライエフェクト 映像の世紀✖️AI ヒトラーの素顔に迫る」を見る。ちょうどナチス関連のブックレットを読んだ後でたまたま目についたのだが、AIを使った番組作りも「ここまで来たか」と感心した。
番組によると、独裁者ヒトラーは、膨大な映像が残る一方で、自らを神格化するために私的な姿をほとんど撮影させなかった。謎多きヒトラーの素顔をあぶり出す唯一の鍵は、愛人エヴァ・ブラウンが撮影した4時間の16ミリフィルム。ヒトラーが信頼する人物との私的な交流が捉えられているという。番組では、フィルムの登場人物を特定するためにナチ関連映像120時間分をAIに読み込ませた。アーカイブ映像とAIの組み合わせで、埋もれていた真実を探る試み。頻繁に登場する男性を主治医と突き止めたり、イケメンの青年を民族の理想像として身近に侍らせたりした様子が新たに分かったという。
愛人は23歳も年下で、会った当初はごく普通の女の子だった。戦争が佳境に入り、連合軍やソ連軍が迫る中で、ヒトラーは愛人とともに山の別荘に籠り、別世界のような優雅な生活を送っていた(最後は地下室で結婚式を挙げ、心中したと言われる)。そんな生活をとらえた映像には、ナチの幹部らが映っていて、ヒトラーに軍事作戦についての相談などをしている。映像だけで音声はないのだが、それを読唇術のプロが読み、一部を言葉として再現した。ただ口元が鮮明でないものは難しく、それが分かる技術を九州工業大がAIを使って研究中という。いずれ新たなテクノロジーが開発され、過去の映像から驚くべき歴史的会話が明らかになる。そんな日はそう遠くないかもしれない。
映像の世紀バタフライエフェクト