2024年10月19日

インターネット文明

日本のインターネットの父・村井純さんの「インターネット文明」(岩波新書)を読む。インターネットが生まれて50年、ワールドワイドWEBができて30年が経ち、全世界で利用者は50億人を超える。ネット以前と以後は、まるで別世界。ビジネスや医療、マンガから安全保障まで、まさに「インターネット文明」と言っていいと指摘する。


コロナ禍があってネットのありがたみを痛感した世界。自粛生活を機にオンライン会議による在宅勤務やネット通販、デリバリーが社会の中に定着した。我が国では光ファイバーが一般家庭にまで整備されていて、大いにネット生活を支えたが、こうした状況は世界的にはかなり特殊なものだという。


匿名の集合知であるウイキペディアや、トラストレスを本質とする暗号資産・ビットコインの話など、技術の歴史に触れながら、日本人研究者らの果たした大きな役割を紹介。「誰ひとり置いてけぼりを作らないデジタル社会」を掲げ、デジタル庁創設に尽力した話も興味深かった。憲法21条2項「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」という取り決めは世界的にはあまりないということも知った。民間と公共を行ったり来たりする米国の働き方は、「リボルビングドア(回転ドア)」といって独特のものだが、政府関係で仕事をして民間に戻ると経験値が上がり給料も跳ね上がるらしい。



インターネット文明 (岩波新書)

インターネット文明 (岩波新書)



  • 作者: 村井 純

  • 出版社/メーカー: 岩波書店

  • 発売日: 2024/09/25

  • メディア: Kindle版





posted by あぶりん at 17:28| Comment(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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