川上未映子さんの「すべて真夜中の恋人たち」を読了。文庫の腰巻きに「恋愛小説」と銘打った本を読むのはいつ以来だろう。内気な主人公・冬子の微妙な日常が丹念に書かれていて、たぶんこれが現代の女性たちのリアル、「あるある」なんだろうなと思った。
冬子の校閲の仕事のパートナー、キャリアウーマン聖のサバサバなキャラと、冬子が付き合う相手の中年男の控えめな態度の描き方がなかなかいい。訳ありらしい男にいつしか自分を重ね読んでいた。小説の設定のうまさが光る。すぐにでも映画やTVドラマにできそうな感じだった(もうなっている?)。
川上作品は初めてだったが、振り返ってみると結構、女性作家の作品を手に取っている。作品に男女の区別は特にないとは思うが、どこかで女性の考え方を知りたいという深層心理が働いているのだろうか。
【関連する記事】