文庫本(誰の本か気になる)を読み、フィルムカメラ(オリンパスらしい)で木漏れ日を写し、紅葉の苗を盆栽として育てる。趣味がその人の教養の一端を物語る。過去に何があり、清掃の仕事に就いたのかは想像するしかないが、かつては社会的地位のある人だったのだろう。スカイツリーを仰ぎ見る押上、亀戸(亀戸天神の近くか)あたりが主人公の住まい。渋谷の公園などの公共トイレ(どれも一流の建築家のデザイン)で仕事をし、夜は隅田川を越えて浅草あたりの居酒屋で一杯やる。かつて住んだ東京を思い出しながら懐かしい思いに浸る。
無口な眼差し、光と影、そして車の中で聴くカセットから流れる音楽。70年代のポピュラーが画面に広がる。「朝日のあたる家」はわかったが、あとはあまり知らない曲。きっと主人公の心情を表しているのかな。ラスト大写しになる主人公の顔。特に大事件が起きるわけでもない。ただ気持ちのいい映画だった。
作品で流れる楽曲は以下の通り。
The Animals “House of the Rising Sun”
The Velvet Underground “Pale Blue Eyes”
オーティス・レディング “(Sittin’ On) The Dock Of The Bay”
パティ・スミス “Redondo Beach”
ルー・リード “Perfect Day”
The Rolling Stones “(Walkin’ Thru The) Sleepy City”
金延幸子“青い魚”
The Kinks “Sunny Afternoon”
ヴァン・モリソン “Brown Eyed Girl”
ニーナ・シモン “Feeling Good”
居酒屋の女将、石川さゆりの「朝日があたる家」(浅川マキが歌った日本語バージョン)はさすが。ギターはあがた森魚。
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