先日亡くなった谷川俊太郎さんと伊藤比呂美さんの対談集「ららら星のかなた」を読む。人気の詩人同士のぶっちゃけトーク。伊藤さんがズケズケと直球勝負でアタックし、谷川さんが苦笑しながら答えている情景が浮かぶよう。面白いおしゃべりだった。
谷川さんは自ら「傲慢」と言って憚らない。離婚した佐野洋子さんから「あんたは女が一人いれば、友達は要らない人だね」と喝破され、その通りだと思った。そもそも他人のことに興味がない。親しい詩人仲間はいたが、年取った今はもう誰もいない。寂しいというより、つまらないと吐露する。我が身に置き換えてみても、なるほどと思う。
詩作については、人が読んで面白いかどうかを一生懸命考える。美的な詩的な感覚は捨てた方が良いという。アトムの作詞からドラマの脚本、絵本など、稼ぐために頼まれたら何でも引き受けた。生き方として、コピーライターの糸井重里さんと被るようなところがある。父親は哲学者の谷川徹三さんで、子供のころどんな教育を受けたかも興味深かった。