2024年02月29日

アン・サリー Live at 能楽堂「緑光憩音」

アン・サリー Live at 能楽堂「緑光憩音」を表参道の銕仙会(てっせんかい)能楽研修所で聞いた。能の舞台でライブというのは初めての経験。歌い手と観客の距離が近く、いい感じで盛り上がった。


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ジャズから昭和の歌謡曲、ポップスまで、オリジナルも含めて、澄んだボーカルで歌い上げる。独特のコブシのようなアクセントが曲に表情を与える。フーテンの寅さんや、銀河鉄道999もアン・サリー風に料理してしまう。999ではついグッと来て涙ぐんでしまった。


1時間半で10数曲くらい。アンコールは、最初に買ったアルバムに入っていた蘇州夜曲。内科医として現役で診療する傍ら、ライブをこなす。歌うことがきっと自らの癒しにもなっているのだろう。連休の初日に歌の診療所で気分のいい時間を過ごすことができた。



Bon Temps [Analog]

Bon Temps [Analog]



  • アーティスト: アン・サリー

  • 出版社/メーカー: ディスクユニオン

  • 発売日: 2022/12/03

  • メディア: LP Record






はじまりのとき [Analog]

はじまりのとき [Analog]



  • アーティスト: アン・サリー

  • 出版社/メーカー: ディスクユニオン

  • 発売日: 2022/12/03

  • メディア: LP Record






ヴォヤージュ

ヴォヤージュ



  • アーティスト: アン・サリー

  • 出版社/メーカー: ビデオアーツ・ミュージック

  • 発売日: 2001/10/24

  • メディア: CD







 
posted by あぶりん at 17:45| Comment(0) | ミュージック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

中村仲蔵〜歌舞伎王国 下剋上異聞

藤原竜也主演の舞台「中村仲蔵〜歌舞伎王国 下剋上異聞」を池袋のブリリアホール(豊島区立芸術文化劇場)で見た。血筋がモノをいう歌舞伎の世界で実力でスターの地位をつかんだ男の物語。今も引き継がれる團十郎や勘三郎といった大看板の役者たちが登場人物として出てきて、伝統芸能の歴史つなぐ厳しさを考えたりした。


相変わらずの藤原の熱演。市原隼人、高嶋政宏らが脇を固めた。「好きな芝居が出来ないなら、生きる意味がない」といったセリフは藤原自身の役者魂と被って見えた。舞踊もしっかり練習したのだろう。堂にいった出来栄えだった。


源孝志脚本、蓬莱竜太演出。講談やドラマにもなった話らしいが、迂闊にも知らなかった。歌舞伎の演目や役者に詳しければ、2倍楽しめる舞台だと思った。


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posted by あぶりん at 17:17| Comment(0) | シネマ&演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月25日

天才バカボンのパパなのだ

下北沢演劇祭で「天才バカボンのパパなのだ」(本多劇場)をみた。バカボンは、いわずと知れた赤塚不二夫のギャグ漫画の傑作だが、芝居の脚本は別役実。不条理劇の大家がどんな本を書いたのか。構えて見たが、抱腹絶倒の舞台だった。


簡単に言えば、国の治安を守り国民に対しても親切な(でも実は偉そうな)警察官をバカボン一家がおちょくる話。権力を相手に回した庶民の抵抗と位置付けられないことはないが。ただ、バカボンのパパもママもバカボンも皆マジメ。マジメにふざける、メチャクチャなことをするのだ。堪忍袋の緒が切れた署長はついに銃を抜き・・・


以前、別役の不条理劇に出演していた俳優の高田聖子さんがすぐ近くの席で観劇していて、びっくり。でも最近は舞台でバカなことを描いても、現実が結構バカなことが多いので舞台の人も大変なのではないか。でも、昭和のギャグ漫画をタイトルにした舞台はちっとも昭和くさくなくパワー全開で楽しかった。


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posted by あぶりん at 16:35| Comment(0) | シネマ&演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月18日

オデッサ

三谷幸喜作・演出の「オデッサ」を福岡・キャナルシティ劇場でみた。推しの宮澤エマが警部役で通訳に柿澤勇人、犯人役に迫田孝也という配役。3人の登場人物が2つの言語を話し、一つの真実に迫る。英語と日本語(薩摩弁)の掛け合いの面白さ。上質のコメディだった。


テキサスのオデッサという田舎町が舞台。ウクライナのあのオデッサに居たロシア人が米国に渡り、開拓した村という。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、深読みすれば、言語の違いによる意思疎通の難しさや、文化・考え方の違いをコメディ仕立てで表現したとも言えるが、「まあ硬いこと言わずに笑えればいいじゃん」という感じで1時間45分を楽しんだ。


大河ドラマでの宮澤とは打って変わって、ネイティブ英語ペラペラの舞台(英語セリフ監修も務める)。逐一、舞台のバックに日本語訳が出て、なんとか事態を切り抜けよう、誤魔化そうとする「にわか通訳」とのやりとりがテンポがいい。鹿児島出身という想定の犯人役・迫田は実際に鹿児島生まれで、ネイティブの薩摩弁(特に独特のアクセント)が効果的だった。三谷のオープニング挨拶も調子に乗って鹿児島弁でねっとりとスピーチ。何もかも計算されたセリフ回しが素晴らしかった。


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2024年02月17日

コロナと潜水服

奥田英朗の短編集「コロナと潜水服」を読む。何かストーリーが読みたいと思った時は、最近は奥田英朗。たまたま読んでない短編集があり、メルカリで手に入れて読んだ。


タイトルになっている作品は、まさにコロナ自粛期間の真っ只中に書かれた一編。どこで感染るかわからない未知のウイルス。世界がパニックになった4年前を思い出す。読みながら、忘れていた不安な気持ちが蘇ってきた。考えてみれば、あの時の在宅ワークはすっかり会社に定着し、ズーム会議、ズーム飲みも普通になった。作品を読みながら、過去のこととしてコロナの時代を読んでいるのだ、客観視できるようになったのだと時の流れを感じたし、感染症と戦ってきた人類の歴史、人類のしたたかさを改めて思ったりした。


どの作品も日常生活でありそうなシチュエーションを「奇想」でもって、予想外の方向へ展開していく。でも最後は、「そうだよね」という暖かなところにおさまる。真っ当な人生の考え方、愛のあるストーリーテラーだと思った。


巻末に作品中に出てくる楽曲のプレイリストが付いていた。QRコードを読み込むと、Spotifyに飛び曲のさわりが聞けるという趣向。面白い試みだと思った。



コロナと潜水服 (光文社文庫)

コロナと潜水服 (光文社文庫)



  • 作者: 奥田 英朗

  • 出版社/メーカー: 光文社

  • 発売日: 2023/12/12

  • メディア: Kindle版





posted by あぶりん at 10:28| Comment(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする