読売新聞、日経新聞、ヤフーを中心にインターネット時代のメディア業界の地殻変動を描いている。慶應SFCの講座から生まれた。メディア業界に関わる人たちには必読の一冊だろう。
紙の新聞か、デジタルか。技術革新か、スクープか。業界の人間にとっては、この20年ほど常にこの言葉が頭のどこかにあり、自らの拠って立つ地盤、会社は大丈夫なのか、転身すべき時なのではないかと自問自答する人も多かったのではないかと思う。ソフトバンクの孫正義がiPhoneの販売権を得て、国内で売り出したのは2008年6月。10年には4Gが実現し、世間にはあっという間にスマホが普及した。それから12年、スマホでニュースを知る時代が到来するとともに新聞の部数は激減してきたのだ。
今年になってスポーツ紙が相次ぎ休刊、デジタル媒体に切り替わるとの発表があった。次はいつ夕刊がなくなるか。最新のニュースがスマホで見れる環境では、すでに夕刊の存在意義は薄れている。惰性で発行しているのは、広告売上高を減らしたくないという、つまらない新聞社内の事情だけだ。とはいえ、新聞社はジャーナリズムの担い手として生き続けてほしい。米国のように地方新聞がなくなった街を想像してほしい。行政権力に対してものが言えない社会。誰も批判する者がなくなると、必ず権力は腐敗する。ロシアや中国、北朝鮮。官製メディアだけの言論社会は想像するだけで寒気がする。
2022年10月10日
2022年10月01日
百花
川村元気が原作、脚本、監督の「百花」を見た。認知症で記憶を失っていく母と息子の物語。人の忘却、忘れるということについて考えを巡らす。AI、人工知能があらゆることを記録してくれる時代だからこそ、人間ならではの記憶の特殊性、感情が介入する思い出の大切さを思う。
認知症の母が覚えている景色、息子が忘れていた思い出。キーワードは、母親がもう一度見たいと息子にせがむ「半分の花火」。半分の花火って、どんなんやろか? スクリーンで見て、半分の花火の景色を見て(ここで一気に伏線を回収)、「なるほど」と頷き、ついほろりとした。
原田美枝子、菅田将暉、長澤まさみ、永瀬正敏という主要キャスト。年を感じさせない原田の色気に感心する場面もあった。永瀬は「オリバーな犬」でも久しぶりに見たが、自分としては随分久しぶり。年をとってなかなか渋くなった。
認知症の母が覚えている景色、息子が忘れていた思い出。キーワードは、母親がもう一度見たいと息子にせがむ「半分の花火」。半分の花火って、どんなんやろか? スクリーンで見て、半分の花火の景色を見て(ここで一気に伏線を回収)、「なるほど」と頷き、ついほろりとした。
原田美枝子、菅田将暉、長澤まさみ、永瀬正敏という主要キャスト。年を感じさせない原田の色気に感心する場面もあった。永瀬は「オリバーな犬」でも久しぶりに見たが、自分としては随分久しぶり。年をとってなかなか渋くなった。