
状況劇場を率いてセンセーショナルを巻き起こしていた唐。演劇的に言うと「肉体論」の物語で、岸田賞を受賞した当時は、既成の演劇人からは批判が上がったという。オリジナルの舞台は見ていないが、演出家によって、いろんな解釈、表現ができるのだろう。他の唐作品より分かりやすいが、その熱くほとばしる情念は変わらない。

メリー・ホプキンの「悲しき天使」が流れる中、過ぎ去った過去、失った肉体、流れ行く時間が舞台で交錯する。地下の喫茶店、満州の前線病院、腹話術師、甘粕大尉、そして宝塚のレビュー。昭和テイストの物語に浸りながら、燃えていた時代を思い、心が熱くなった。