2019年03月28日

米中覇権争いと日本について考えた

六本木グランドタワーのベルサールであった東京財団政策研究所のフォーラム「米中覇権争いの政治経済学」を聞きに行った。元NHKの手嶋龍一、双日総研の吉崎達彦、東京財団上席研究員の柯 隆(か・りゅう) の各氏がスピーカー。

手嶋さんは、トランプという異形の大統領を生んだ米国の地殻変動にこそ注目すべきだ。米中関係は新冷戦ではなく、熱戦となる恐れもある。注目すべきは台湾海峡であり、万が一有事となれば、日本は大変困難な立場になる。現段階では民主党はトランプに勝てない。あと5年、トランプはあり得る。かつてキッシンジャーは、拠って立つ理念の大切さを訴えたが、今の米政権にはない、などと話した。

吉崎さんのトランプ評は、不動産屋ではなくテレビマンだ。いつも面白いことをやってやろうと考えている。プロレス興行のように。覇権国と新興勢力の衝突は歴史の必然であり、トゥキディデスの罠という言葉がある。AIとビッグデータと5G。この三つが焦点になっていて、こうした技術分野での覇権争いが熱戦につながるかもしれない。5Gは自動運転を実現するための技術の要。

柯 隆さんは、中国の強国夢について。中国はアヘン戦争いらい、外国との戦争に負け続けてきた。ゆえに大国になる夢があり、いま経済的には米国に次ぎ2番となった。米国の親中国派は経済が発展すれば民主化も進むと国内を説得してきた。しかし、習近平の下ではそうはならない。中国共産党政府の幹部は、元紅衛兵であり、毛沢東の信奉者。鄧小平の実利主義ではない。経済力と軍事力、文化力が強国になるための3条件。中国に足りないのは文化力であり、それを実現するには自由が必要なのだが。

今の調子ではトランプはあと5年、習近平も3期目を目指す。日本外交は従来通りのソフト路線でよいのか。主張すべきは主張するハード外交も時には必要なのではないかとの意見に考えさせられた。
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2019年03月24日

東京都庭園美術館へサイクル散歩

白金台にある東京都庭園美術館まで自転車で散歩に行った。日曜日は都心もクルマが少なく気持ちいい。皇居そばの通りはサイクル専用道路になっていて、咲き始めたサクラを見ながらランラン気分のポタリングだ。

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スイスイと五反田方面まで行ってしまい、少し遠回りになったが、庭園美術館に到着。美術館は旧朝香宮邸でアール・デコ様式の建物自体が美術品のような優雅な佇まいだ。岡上淑子さんの「フォトコラージュ沈黙の奇跡」展があっていて、せっかくなので鑑賞した。戦後の昭和20年代、西洋の人物・風景を切り貼りして、シュールレアリズム的な世界観を表現している。技法は素朴なところもあるが、解放された女性の時代へ向けて、その心象風景を作品にしている。レトロな雰囲気のモノクロの絵葉書を1枚、記念に買った。

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庭は自然教育園に続く感じで広がっていて、日差しいっぱいの芝生と花をつけた樹木が気持ちよかった。

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2019年03月22日

三鷹天命反転住宅を見学した

東京都三鷹市にある「三鷹天命反転住宅 イン メモリー オブ ヘレン・ケラー」の見学会に行ってきた。芸術家の荒川修作と詩人マドリン・ギンズが作った未来住宅。カラフルで積み木を積み重ねたようなマンションで実際に住人がいる。3階の2部屋はショートステイ用で、宿泊客がおらず、スタッフの都合がつく時に見学できる。入場料2700円、この日は20人ほどの見学者が集まった。

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学芸員の指示で室内を裸足で歩いたり、天井の金具に荷物を収納?したり、見学者自らが身体を動かしながら住宅を体験する。凸凹の床、傾いた天井、色とりどりの壁、球体の部屋。普通ではない作りは、人間の神経を研ぎ澄まし、眠っている能力を覚醒させる。便利さや効率を追求する建築ではなく、まず人間が中心にいて、家を構成していく。そんなコンセプトで作られているという。

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実際住んでみたら、身体に変調をきたすか、それとも未知なる才能が発現するだろうか。興味津々。最後にスタッフが事務所として使っている1階の部屋を見学。ブランコがあったり、吊り輪があったり、クライミングがあったりして、エクササイズ好きにはいいかも。でもルンバが使いずらいので掃除は大変かな。これまで考えたことのない視点から住まいを考える、とてもよい機会になった。

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ヘレン・ケラーまたは荒川修作

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  • 発売日: 2010/04/02
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建築する身体―人間を超えていくために

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養老天命反転地―荒川修作+マドリン・ギンズ 建築的実験

養老天命反転地―荒川修作+マドリン・ギンズ 建築的実験

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  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 1995/11
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三鷹天命反転住宅 ヘレン・ケラーのために―荒川修作+マドリン・ギンズの死に抗する建築

三鷹天命反転住宅 ヘレン・ケラーのために―荒川修作+マドリン・ギンズの死に抗する建築

  • 作者: 荒川 修作
  • 出版社/メーカー: 水声社
  • 発売日: 2008/04
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2019年03月17日

B.B.BASEで南房総サイク

JR東日本のB.B.BASEを使って千葉・南房総をサイクリングした。自転車を分解せずに列車にそのまま積んで目的地へ行き、いきなりサドルにまたがれる。サイクリストにとっては夢のような特別列車が昨年生まれたのを知り、ようやく乗車が実現した。

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出発は両国駅で東京江戸博物館側の特別改札口から乗車。ロードバイクを専用のラックに搭載し、傍のシートへ。自由席でゆっくりしたシートでくつろげる。7時39分に出発、東京湾沿いを館山駅まで2時間半。ガイドさんが同乗していてモニタールーム(4号車)でモデルコースの説明やクーポンが使える観光地の紹介をしてくれたり、お茶菓子のサービスもあった。木更津、君津など、地名は知っていても行ったことがない駅を通過し、「ああ、ここだったのか」と出会った風景に旅情を感じる列車旅。

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南房総の玄関口の館山駅は、ヤシの木に花壇と暖かい出迎えムード。千倉から海岸線に出る時計回りのミドルコースを完走目指してスタートした。ちょっと肌寒かったが、朝方の雨も上がり長袖のサイクルジャージにフード付のヤッケ、下は短パンにタイツがちょうどいい。

道の駅ちくら潮風王国で小休止。缶コーヒーで水分補給し、シーサイドルートをランランサイクで進む。岩場はウニやアワビの漁場らしく、密猟禁止の立て札や監視小屋まであり、観光ルートとしては少々興ざめする風景も。それでも一帯は温暖な気候を生かした花の栽培が盛んなようで、色とりどりの花畑がいたるところにあり、お花摘みができる観光花園が目についた。

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白浜、野島崎を過ぎて相浜漁港でランチタイム。鶴瓶の番組で紹介された巴寿司の暖簾をくぐる。昼時だったがカウンターは空いていて、さっそく地物の寿司を注文した。タイに赤魚、ブリなど5種類のネタ、味噌汁と箸休めの魚の煮付けもついてお腹いっぱい、これで1500円は安い。

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ラストは緩やかな峠を越えて、館山方面へ。早めに着いたので南総里見の湯でゆっくり汗を流す。南総とは、あの南総里見八犬伝の土地だったかと、今更ながら発見し、一人で勝手に感心する。温まりうつらとしてからゴールの館山駅へ。17時10分館山発。東京湾に沈む夕日を眺めながら、駅の売店に注文しておいたクジラ弁当を食す。房総沖は昔からクジラ漁が有名。久しぶりの大和煮とフレークがのった弁当が疲れた身体に優しかった。両国駅には19時38分着。輪行の煩わしさがないのは面倒くさがりの自分にとっては何ともありがたい。楽しいサイクリング旅でした。

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南房総―写真集/大地と海と陽光のドラマ

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2019年03月08日

「世界は一人」の岩井秀人さんのこと

岩井秀人さんは数年前、向田邦子賞、岸田戯曲賞を相次いでとった演出家。平田オリザさんの青年団の演出部に所属し、そこから頭角を現した。劇団ハイバイを主宰し、個性的な俳優としても活躍している。

雑誌「すばる」に沢美也子さんが劇評を書いていた。それによると、物語の舞台は北九州市。石炭と鉄で栄えて水質汚染がひどく、今は寂れた街という設定に、すぐ北九州市を思い浮かべたのだが、やはりそうだったか。もともと松尾スズキさんの作と勘違いして、松尾さんの出身地である北九州市が舞台なんだと思いこんでいたんだけど。岩井さんは北九州市まで取材に訪れ、公害克服の歴史に関心を抱いたという。

岩井さんによると、自身の作品と九州という土地柄は親和性が高い。父親の家庭内暴力を描くと、東京あたりの公演では引くのに、九州では結構笑って見てくれる。なぜ笑うのか聞くと、「だって、うちにもいるから」と答えが返ってきたりするという。そうかしらと、思わなくもないが、あらためて岩井作品を見てみようかと思った。
posted by あぶりん at 15:02| Comment(0) | シネマ&演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする