猿楽通り沿いの明大キャンパスであった唐組公演を見に行った。座長の唐十郎さんの中学校時代の先生から妄想を膨らまし、便器やサンダーバード3号のようなモグラ掘削機、耳を切ったゴッホのエピソードなど、グロテスクな夢の世界を舞台に現出させてみせた。
唐さんの母校である明大では、その足跡をたどる企画展が開催中。権力や既成概念を打ち破るアングラ芝居の情熱、その熱量の大きさが魅力だとあらためて思う。まさに迸る言葉の奔流。理解しようとせず、身体と心で感じる芝居なのだろう。
終演の舞台に座長の唐さんが上がり、挨拶した。転倒して頭に大けがをして以来、久しぶりにみた。「ヨッ、唐!」と、この日一番の掛け声と大きな拍手が起きた。唐さんはダークスーツに黒のハットで、昔のようにカッコよく決めていた。公演中は、娘のミニオンさんらが付き添ってテントの後方の椅子にかけて見ていたが、「配役に注意して見ていたが、やあ面白かったね」と劇団員をねぎらっていた。またいつか、舞台上で見得を切る唐さん見たいなあ、と思った。

唐十郎の劇世界
- 作者: 扇田 昭彦
- 出版社/メーカー: 右文書院
- 発売日: 2007/01
- メディア: 単行本

特権的肉体論
- 作者: 唐 十郎
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1997/05/01
- メディア: 単行本