2018年04月30日

革命日記

青年団・こまばアゴラ演劇学校無隣館による公演を、こまばアゴラ劇場でみた。学生や青年労働者が日本を、社会を何とかしなければと、過激な行動に走った時代があった。新左翼と呼ばれた革命家たちが物語の主人公。劇中に出てくる熱い論議を目の当たりにして、忘れかけていた情熱、若き昂ぶりのような感情を思い出した。

闘争、オルグ、機関誌、世界同時革命、シンパ、三里塚、内ゲバ。作品のパンフには、革命日記のための用語集が親切にも付録としてついていた。どれも懐かしい言葉で、連想ゲームのように大学のキャンパスが頭に浮かんだ。

学生のころはノンポリだったが、「自分は何もしなくてよいのか」という焦りのような気持ちは確かにあった。それは政治への関心に向き、その後の進路にも影響を与えた。平田オリザの作・演出。日常の中から発想の羽根を広げていく、コミュニケーション劇には今回も考えさせられた。

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わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)

わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)

  • 作者: 平田 オリザ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/10/18
  • メディア: 新書



対話のレッスン 日本人のためのコミュニケーション術 (講談社学術文庫)

対話のレッスン 日本人のためのコミュニケーション術 (講談社学術文庫)

  • 作者: 平田 オリザ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/06/11
  • メディア: 文庫



演劇入門 (講談社現代新書)

演劇入門 (講談社現代新書)

  • 作者: 平田 オリザ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/10/20
  • メディア: 新書



演劇のことば (岩波現代文庫)

演劇のことば (岩波現代文庫)

  • 作者: 平田 オリザ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2014/06/18
  • メディア: 文庫
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2018年04月29日

十二夜

演劇集団円の公演を両国のシアターX(カイ)でみた。シェイクスピア原作の喜劇「十二夜」。クリスマスから数えて十二夜目、1月6日あたりに上演されるために作られた芝居で、祝祭期間が終わる最後の夜に、こうした喜劇をみて楽しむのが習わしだったらしい。

シェイクスピア悲劇は、結構みたことがあるが、喜劇はあまり記憶にない。嘘と、入れ替わりと、恋愛と、オーソドックスな物語の基本に則ってドラマが展開する。考えてみれば、近代演劇はシェイクスピアを一つのお手本として発展してきたのだから、本家本元をみて「オーソドックス」と感じるのは、当たり前のことなのだろう。

役者はオトコばかり。歌舞伎ほどのあでやかさはないものの、女装をした伯爵夫人など登場人物は、かえってオトコが演じるから、オンナの恥じらいやかわいらしさが表現できているのかも。ちなみに演劇集団円は、芥川比呂志を中心に劇団雲から独立した集団で、あの橋爪功が属している。今回の公演は、英文学者の安西徹雄の没後10年企画という。

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posted by あぶりん at 10:09| Comment(0) | シネマ&演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月16日

おそろしいビッグデータ

「超類型化AI社会のリスク」というサブタイトルがついた、山本龍彦・慶応大法科大学院教授の新書。ビッグテータ時代が、憲法の基本理念を揺るがす恐れのあることをSFタッチのシナリオを示しながら解説している。

妊娠予測とベビー用品広告、メタボ予測、不安喚起とダイエット食品広告、個人の能力・信用力予測と社会的排除、個人の政治的信条の予測と選択的ニュース配信、再犯リスクの評価と刑事手続き。この5つのシナリオをあげて、AIが個人の過去を調べ上げ、その人の能力や適性を決めつける、おそろしさを指摘する。

象徴的な言葉が、「バーチャル・スラム」。プロファイリング、アルゴリズムによって、一度しくじったが最後、人生をやり直す自由を奪われてしまう。いったんネットの海に出た情報は容易に回収できない。プライバシー権という新たな概念を武器にすべきだと訴えるが、ネット万能の時代にどうやって生き抜いていけばよいのか、これからの大きな問題であると思った。


おそろしいビッグデータ 超類型化AI社会のリスク (朝日新書)

おそろしいビッグデータ 超類型化AI社会のリスク (朝日新書)



  • 作者: 山本龍彦

  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版

  • 発売日: 2017/11/13

  • メディア: 新書





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2018年04月08日

池袋モンパルナスとニシムイ美術村

都営三田線の終点・西高島平まで乗って、板橋区立美術館まで行った。かつて絵描きが多く住み、日本のモンパルナスと呼ばれた池袋、落合。そこで青春をすごした絵描きが沖縄に戻り芸術村をつくった。彼らの作品と交流の足跡を展示する。

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佐伯祐三や藤田嗣治、野見山暁治らそうそうたる画家たちの作品が並ぶ。作品には、かつての池袋や新宿の街並みが描かれていて、当時の雰囲気を知ることができた。かつて池袋は湿地でそこを開拓して安い住まいをつくったらしい。展示では、丸木位里、俊の沖縄戦の図の一枚もあって、こんなところで出会えるとは、ちょっと感動した。ちなみに板橋美術館のキャッチフレーズは、「永遠の穴場」。なるほど、とうなずける内容だった。

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記念に池袋モンパルナスの今昔を描いたイラストマップ(50円)を購入。1941年と現代の一帯を比較しながら街歩きができる。また今度、ぶらっとしてみるか。近くの高島平は、高度成長期にマンモス団地ができた。住民とともに年を重ねた街はどうなっているのか。ここもあらためて訪ねてみよう。さんぽ日和、奈良、鎌倉に次ぐという「東京大仏」を拝み、散策を楽しんだ。

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posted by あぶりん at 16:43| Comment(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする