2018年03月31日

レッド・スパロー

3月29日にオープンしたばかりの東京ミッドタウン日比谷のシネコンで、ジェニファー・ローレンス主演の最新作をみた。ロシアのスパイとCIAの騙し合いというストーリーは、冷戦時代を描いた映画の定番だが、今回の作品の設定は21世紀のいま。ロシアの仕業とされる、英国での元スパイ殺人事件が外交問題に発展している現実が、作品がまったくの絵空事ではないのかも、というある意味リアルさを与えている。

とはいえ、作品の最大の魅力は、初めてフルヌードを披露した、オスカー女優ジェニファーの妖艶な演技。超絶アクションではなくて、艶技でオトコたちを翻弄する。目をそむけたくなる拷問、クールなまなざし。その対照的なシーンが印象に残る。バレリーナとしては、ふくよかすぎると思ったが、そのやせすぎていないスタイルが、力強い格闘シーンを迫力あるものにしている。

日比谷にできた大型シネコン。座席はゆったり快適でスクリーンも見やすい。丸の内、銀座、霞ヶ関に近い立地で、勤め帰りの人が多かった。金曜の夜は日比谷のシネコンという楽しみが増えた。
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2018年03月25日

少女都市からの呼び声

新宿梁山泊の創立30周年記念第4弾公演を東中野の芝居砦満天星でみた。唐十郎が状況劇場の若手公演のため書き下ろした作品。演出の金守珍はフランケ醜態博士役が当たり役となった。今回も役者として出演し変わらぬ存在感をみせた。

ガラスの子宮を持つ雪子役は清水美帆子。アニメのヒロイン役になれそうな魅力的な声で、ガラスの透明感、儚さを熱演した。フランケの助手の渡会久美子はクールビューティ。久しぶりに見た山谷初男の笑顔、ギター抱えた中山ラビの貫禄の歌声もしっくりきた。

夢とうつつを行き交いながら進む物語。ラムネ瓶の中のビー玉は子宮の中のいのちであり、割れやすいガラスは儚さの象徴。クライマックスのビー玉の雨は、その子宮が砕け散るイメージなのだという。外連味豊かな舞台にたっぷり浸った2時間だった。

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2018年03月18日

美女劇 奴婢訓

Project Nyxの第18回公演を東京芸術劇場シアターウエストでみた。水嶋カンナプロデュース。寺山修司作、天井桟敷の代表作を女性キャストだけで演じる。綾野アリスによると、「きれい系アングラ劇」。確かに「美女」たちの競演で艶めかしく、その分猥雑さは減殺された。

宇野亞喜良の舞台美術、金守珍の演出、黒色すみれのアコーディオンとバイオリン弾き語りが中世の世界へ誘う。主人と奴隷、支配と服従という関係を役者たちは演じるが、結局は人は欲望の奴隷になっているという現実を描いているのだろう。

宮沢賢治のイーハトーブを舞台としているのもちょっと驚いたが、いろいろなキャラクターが出てくるのも面白い。存在感があったのは小川碧水(すみな)が演じた乳搾り女のヒルダ。肢体をさらしての演技、そでのところで搾乳を続ける出ずっぱりのシーンは記憶に残った。浅草ロック座ストリッパーの若林美保の女神アルテミス、空中ぶらさがりパフォーマンスはみごとだった。

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2018年03月04日

シェイプ・オブ・ウォーター

恋愛映画を久々にみた。美女と野獣のようなシチュエーションがハリウッド=米国人は好きなんだなあ、とつくづく思う。今回はかつて見た半魚人のような不思議な生物が主人公。マイノリティーに対する差別感情を、米ソ冷戦時代という設定で描いてもいる。

懐かしいジャージーな曲が全編を通して流れ、時代の雰囲気を醸し出す。ヒロインはサリー・ホーキンス。半魚人と言葉で通じなくても愛情は理解できる、感じ合うことができる。ギレルモ・デル・トロ監督が言っていることはとてもシンプル。見る側は、いつの間にか、二人の逃亡と幸せを願っている。

グローバル化のせいか、最近は英語の原題そのままが多いが、素敵な邦題をつけてもよかったのではないか。「水の中のふたり」とか(古いか!)。

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2018年03月03日

終わった人

サラリーマンには必ず訪れる定年。勤める身としては、人ごとと思えない心境で試写をみた。舘ひろし、黒木瞳の夫婦ははまり役、コメディタッチで、まさに泣き笑いの一作だった。

原作は内館牧子の同名小説。「定年って生前葬だな」というキャッチコピーがあまりに刺激的で、手にとることができなかった。ホラー映画で有名な中田秀夫監督が原作に惚れ込んでメガホンをとったという。

会社に行かなくてよくなる日。自分にあてはめて、まだ想像することができない。新たにやりたいことをやる。起業でも趣味でも勉強でも、何でもいい。男だったら最後の恋もしてみたい。甘い妄想と、厳しい現実が展開する。定年になった本人は、人生一区切りで、「ホントによくやった」と自分を褒めてよい。でも、家庭を持つ人なら、それは妻の支えあってのことだし、子どもがいたから頑張る気持ちも続いたのだ。その気持ち、家族への感謝を忘れてはいけないなあと、つくづく思う。映画のラストは、今風だなあ。
posted by あぶりん at 08:54| Comment(0) | シネマ&演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする