2017年09月14日

講談社エッセイ賞

都内であった講談社エッセイ賞の授賞式を覗いた。今年の受賞者は小泉今日子さんと穂村弘さん。二人とも人気者、というかキョンキョンの受賞ということで、会場は例年以上の大賑わい。メディアも大勢詰めかけていた。


小泉さんは受賞あいさつで、20代のころ雑誌にエッセイを連載し、そのときに演出家の久世光彦さんに言われたことを紹介。とても素敵なエッセイだけど、自分のいいところばかり書いている。いつか嫌なこととかも書けるようになれたらいいね。受賞作の「黄色いマンション 黒い猫」は、その久世さんのアドバイスを素直に受け止め、文章にしたのだという。林真理子さんは選評で、小泉さんの文章のセンスのよさを指摘したうえで、自分の存在や過去をこれだけ客観視できる人はそういない。スターと言われる存在であれば、なおさらだと言っている。間近で見た小泉さんは相変わらずおしゃれでカッコよかった。


続いてあいさつした穂村さんは、受賞作の「鳥肌が」は怖いもの見たさという気持ちで書いた。短歌の人らしく言葉について自らの解釈を縷々述べた後、怖い短歌を一首紹介した。


ほんとうはあなたは無呼吸症候群 おしえないまま隣で眠る


たぶん横に寝ているのは夫であろう。そうした情景が怖い。そういった夫婦の関係が怖い。それを新聞に投稿する、しかも名前を公表して。それも怖い。などと穂村さんは話し、会場は爆笑に包まれた。以前から穂村さんの文章が面白くていろんな著作を読んでいる。東海林さだおさんは選評で、感性の角度が面白いと指摘していて、なるほど巧いことを言うと感心した。


黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)

黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)



  • 作者: 小泉今日子

  • 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング

  • 発売日: 2016/04/15

  • メディア: 単行本






鳥肌が

鳥肌が



  • 作者: 穂村 弘

  • 出版社/メーカー: PHP研究所

  • 発売日: 2016/07/15

  • メディア: 単行本(ソフトカバー)







黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)

黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)

  • 作者: 小泉今日子
  • 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
  • 発売日: 2016/04/15
  • メディア: 単行本



小泉今日子書評集

小泉今日子書評集

  • 作者: 小泉 今日子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2015/10/23
  • メディア: 単行本



小泉放談 (宝島社文庫)

小泉放談 (宝島社文庫)

  • 作者: 小泉 今日子
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/12/06
  • メディア: 文庫



小泉今日子写真集 デラックス近代映画

小泉今日子写真集 デラックス近代映画

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 近代映画社
  • 発売日: 1984/01/05
  • メディア: 大型本



コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982-2017~ (通常盤)

コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982-2017~ (通常盤)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2017/05/17
  • メディア: CD



Kyon30~なんてったって30年!~

Kyon30~なんてったって30年!~

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2012/03/21
  • メディア: CD



ザ・ベスト

ザ・ベスト

  • アーティスト: 康珍化,高見沢俊彦,緑一二三,松本隆,秋元康,麻生圭子,真樹のり子,千家和也,三浦徳子,篠原仁志
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1986/12/16
  • メディア: CD
posted by あぶりん at 22:35| Comment(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月03日

祈りのかたち

仏教美術入門というサブタイトルがついた展覧会。丸の内の出光美術館に久しぶりに行った。会期がきょうまでということもあり、この美術館にしては多い人出。同館所蔵の仏画、仏像、曼荼羅などを鑑賞した。


阿弥陀如来の教えを守り極楽浄土へ行けるか、それとも地獄か。人々は極楽行きを願い、お経を唱えた。地獄にもいろいろランクがあって、阿鼻叫喚というのは地獄の呼び名であることを知った。阿鼻地獄が最も厳しい地獄らしいが、殺人や窃盗とともに不倫というのも地獄行きの罪に挙げられていた。いくら科学が進歩しようと、人間界でやってること、悩んでいることはあまり変わらないのだなあ、と思った。


この美術館には休憩コーナーがあり、お茶のサービスもある。皇居のお堀を眺めながら、ゆっくりできる。ちょっと涼しくなった日曜の昼、心の洗濯をした。
posted by あぶりん at 19:44| Comment(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月02日

リベラルという病

コンサバか、リベラルか、と問われれば、自分はリベラルと思っていた。だが、この本を読むと、米国のリベラルと日本人の考えるリベラルにはかなり違いがあるというのが分かった。


リベラルという宗教、最高裁判事という権力者、揺らぐ家族像という3つの章で、米国の歴史と現実を解説しているが、一番面白かったのは最初の章。「人種間の平等」という大原則が、性的、性指向的、いかなる意味でも少数者を差別しないポリティカル・コレクトネス(PC)に発展。どんな私的な空間でもわずかなことでも差別に対しては決して許さない「ゼロ・トレランス」が社会を息苦しくさせているのではないか。そうした現状に不満を持つ人がトランプ支持を拡大させた背景にもあるという。


リベラルという語感には自由なイメージがあり、個々の判断を尊重するイメージがあったのだが、実は主張に反するものには不寛容であるというのが意外だった。むしろコンサバの方がある意味で寛容な面があるという。外交を例にとれば、リベラルは「米国の民主主義を世界に広める」を旗印に積極介入する。コンサバは自国の利益が第一という判断。


著者の山口真由さんは東大出の財務官僚で米国で弁護士をしていた。最後の章の日本のリベラルについての分析は、まあそんなものかなという感じ。米国発のニュースを理解するには、いい一冊だと思う。



リベラルという病 (新潮新書)

リベラルという病 (新潮新書)



  • 作者: 山口 真由

  • 出版社/メーカー: 新潮社

  • 発売日: 2017/08/09

  • メディア: 新書





posted by あぶりん at 09:15| Comment(0) | 読書日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする