2017年07月30日

ウランバーナの森

奥田英朗さんのデビュー作を新しくなった文庫で読む。生者と死者がふれあう不思議な体験を通し、主人公の心の傷が癒える。

あとがきによると、奥田さんの病気体験と知識を活かし、特有のユーモアを生み出している。氏のその後の作品に出てくる変な医者や、魅力的な看護師も、片鱗が垣間見える。

ウランバーナは、サンスクリット語とかで、お盆のこと。舞台は軽井沢、これからの時期にちょうど良いストーリーだ。
ラベル:奥田英朗
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2017年07月16日

TOKYO ART CITY

東京ドームシティのギャラリーAaMoで開かれている「TOKYO ART CITY」に行った。都市とはアートである、というコンセプトで東京の今を光によって表現。熱中症になりそうな猛暑を逃れ、涼しいデジタルアートの世界に浸った。

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新宿の歌舞伎町。ゴジラがいて、けばけばしいネオンがまたたく。エネルギーあふれる街。雑多なものが混ざり合ったTOKYOの象徴ともいえる。建造物やサイネージ、集まる人さえ、都市を彩るアート。そんなメッセージと受け取った。


以前東京駅の丸の内側駅舎で行ったが、大変な人出で中止になってしまったプロジェクションマッピングをミニチュアの駅舎で上映していた。東京国立博物館でのマッピングもやっていたが、やはり屋外でやってこそ、スケール感があり感動があるのではないか。室内展示の限界を感じた。


ロボットのようなコスチュームの「サムライズ」が、SF世界のガイド役のように会場でパフォーマンス、記念撮影にも応じてくれる。東京タワーから眺める、星降る都心のビル群。暑さを忘れさせてくれるアートイベントといえるかも。


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近くの文京シビックセンターでは、本郷旅館街展をやっていた。かつて本郷地区には、100軒以上の旅館が軒を連ねた。昨年、朝陽館がなくなり、残るのは東大近くのわずかな何軒かのみ。朝陽館の模型や、使っていた備品などが展示されていた。いま一帯はマンションが建ち並び、かつての面影はない。「東京」から「TOKYO CITY」へ。時代の移ろいを考えた一日だった。
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2017年07月15日

寝盗られ宗介

北区AKT STAGEによる、つかこうへい作「寝盗られ宗介」を北区王子の北とぴあつつじホールで観た。錦織一清演出。旅回りの劇団の物語で、劇中劇がシンクロしながら、話が進む。

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例によって、つか芝居の主人公はカッコいい。そして、熱く、わがままである。座長と看板女優。貧乏しながらも、生活のすべてを芝居に注ぐ。不器用で屈折した男の愛情表現。時に女はそんな愛のかたちに不安を感じてしまう。


昭和歌謡「お嫁サンバ」や、EXSILEのナンバーで、雰囲気を盛り上げながら、クライマックスへ。2キャストあって、観たのは「白菊」組のステージ。「女心も救えないで、なんで日本が救えよう」。その通りだと思うけれど、ね。

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会場の北とぴあ前で、長崎にある平和祈念像のミニチュア像を発見。なぜ?と思って銘板を見ると、作者の北村西望氏が名誉区民なんだとか。非核都市宣言にあわせて建立されたという。
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2017年07月14日

國學院大学博物館


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渋谷で仕事があり、近くの國學院大學博物館を覗いてみた。キャンパス内の神社を参拝後、向かいの学術メディアセンター地下1階にある博物館(入場無料)へ。



樋口清之さんがいた大学というぐらいしか認識はなかったが、大学の名前である国学の歴史(久しぶりに本居宣長、平田篤胤といった人たちの名前を見た)や考古学の資料が結構な規模で展示されていて感心した。



特別展として高円宮家所蔵の根付コレクションもやっていた。根付は印籠や巾着、煙草入れ、矢立などの提げ物を帯から吊す時に使う、滑り止めの道具。江戸独特の美的感覚が育て上げた「掌におさまる美術品」といわれる。そこだけは撮影OKで、人や動物など多様な意匠の根付が並んでいた。


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福岡の西南学院大博物館と提携していて、展示フロアには西南コーナーがあった。神道とキリスト教の大学が提携しているのは、ちょっと興味深い。神に祈る真摯な気持ちは洋の東西を問わないということかしら。


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2017年07月08日

パラミタミュージアム

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三重県菰野町のパラミタミュージアムに行った。パラミタは、梵語の波羅蜜多(はらみった)に由来。迷いの世界である現実世界の此岸から、悟りの境地である涅槃の彼岸に至るという意味で、芸術に触れてしばし現実から遊離するひとときを味わってほしいということらしい。

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目玉は、世界的版画家・池田満寿夫の般若心経シリーズ。仏の顔を浮き彫りにした陶芸のオブジェで、輪廻転生を表現した。版画では日本的な要素を廃したが、晩年のこの作品群では仏教芸術によって日本のこころに回帰したという。

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展示は江里佐代子の工芸や、田村能里子の絵画などがあり、仏教にこだわっているわけではない。しかし、ちょうど開催されていた棟方志功の作品展や、中村晋也の釈迦十大弟子など、仏教テイストの作品が印象に残った。自動で動くからくり人形の実演、緑あふれる庭園の散策路もすてきだった。

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近くの湯の山温泉は、泉質がよく人気の温泉地。かつて「男はつらいよ フーテンの寅」のロケがあった。
posted by あぶりん at 16:59| Comment(0) | TrackBack(0) | アート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする